「新しい思想・感性論哲学の世界」
芳村思風著
思風庵哲学研究所 刊
本体価格 2625円
【カバーコピー】
■学問や文化を根底から支えている原理の正当性を
問い正す事は、哲学が全人類に負っている重大な使命であり
責任である。
今や世界は弁証法的対立の時代ではなく、
根元的統一の基盤を要求しているのである。
【本の目次】
本文
・第一章 感性の確立
・第ニ章 感性の構造
・第三章 世界観
・第四章 現代哲学との対話
・第五章 一般的命題
■21世紀の世界は、20世紀を築いた原理の延長線上には存在しない。
21世紀を築く巨星の条件は、原理的創造への意欲と情熱である。
新たなる世界は、新たなる原理を要求する。
感性論哲学は、哲学における21世紀の新しい原理である。(2p)
■思惟と身体との統一は、
感性を媒介にして初めて現実的なるものとなっている。
そこで、最も現実的な意味において、「私」とは、
感性において統一されて在る「身体と思惟」の有機的全体性なのである。(29p)
■我々は、感性なしに思惟を現実的なものとして考える事はできないが、
思惟なき感性を現実的なものとして考える事ができる。
感性は、その作用において思惟作用を前提としない。
それ故に感性は、存在においても作用においても思惟から独立した存在である。
(31p)
■感性は、すべての感官を通して与えられる感覚や表彰を感受して、
それを統一統合し、感性という世界における1つのまとまりある全体的経験を形成
する。(34p)
■能動的なる感性としての「直観」という能力は、
認識論的な表現であって、これを存在論的な能力として考えた場合には、
「意志」と名付けられ、実践的な能力となる。(39p)
■意味は関心によって呼び起される。意味とは関係である。
関心とは、能動的な心の働きであり、感性における直観の能力において発現する
作用である。
我々はすべて、混沌たる意味世界の中に、関係あるものとして生まれて来、そして
無意識の内にも、関係を持って生きている存在である。
それ故に我々は、無意識の内に根源的に意味づけられているのである。
我々は意味の大海の中に、意味を持って生きているのである。
生きるとは、このように、根元的意味づけられているという事の意味を自覚する事
である。
使命とは、この意味の自覚から出発するのである。
何等の関係なしに存在しているもまのは、
この世界の中には何一つ存在しない。
すべてのものは、意味と使命を持って存在しているのである。(43p)
■人間が思考し始めるのは、言葉を発音する事ができる時期と同時である。
最初の思考は、言葉とその言葉に含まれる対象的内容とを統一する作業から
始められる。
そして、このすべての過程が、人間の社会における人間同志の共同生活において
進められるというごく当り前な平凡な事実が、人間が、人間らしい人間になるという
事に、大きな意味を与えているのである。
「人間」はこの意味において、本質的に社会的な存在なのであるということができる。
(53p)